旅路
長いこと病床生活を送っておられ
一人っ子だった友人は
イギリスと日本を何度も行ったり来たりの生活を送っていた。
暫く連絡がなかったので
どうしているのかなぁと折に触れ案じていたけれど
なすべきことをきちんとこなし
お母さまの旅立ちに向き合っていたのだった。
心身共に、大変だったと思う。
かく言う私も
既に両親は、ない。
36の歳に、母が逝き、その6ヶ月後に父も逝った。
癌で入退院を繰り返していた父の余命があと5ヶ月と知らされた時は
主人と共に駆けつけたものだけれど
その後、2年は優に生きながらえた父を置いて
母は脳梗塞であっけなく逝ってしまったのだった。
お母さまを見送った友人の言葉を借りれば
別れは辛いけれど
なすべきことをきちんと出来た安堵の気持ちと清々しい思いで
今では心が満たされているという。
そんな境地に至るまでの友人の旅路を思うと
頭を垂れずにはいられない。
人は、残された自分のために涙する。
私もかつてはそうだったし
友人もきっと、まだまだ涙を流さずにはいられないだろう。
けれど、
亡くなられたお母さまのためにも、
これからは共に、
一瞬、一瞬、うれしいことや楽しいことで満たしていこう。
人生は、今という瞬間の連続なのだもの。